清水の三下奴(清水次朗長伝)

清水の三下奴

若勇の弟子のシンガリ政吉というかわいい相撲取りが次朗長宅へ詫び事が言いたいとやってきた。
吉原宿の善助という貸元から若勇が二十両借りた。
返そうと思っているうちに患いついて返せなくなった。
そこへ善助の子分が取り立てに来て、返せないなら何かかたを貰っていく、そう言って、止める政吉と若勇の頭を殴って、次朗長が贈ったまわしを持っていってしまった。
話を聞いた次朗長、二十両は博奕場で借りたと知ると、それは向こうに理屈があるが、病人を殴ったのが向こうの落ち度。
理由を話して二十両渡してまわしを返してもらうから心配するなと、政吉に親孝行代十両渡して帰した。

入れ替わって小政が次朗長の前に座る。
善助の野郎、俺が叩斬っちまう。
行ってくるから二十両くれ。

馬鹿な事を言うなと次朗長。
善助には子分が三百人、親分の富士郡宮島敏蔵が知った身内を集めたら千何百人、そんな相手に間違い(喧嘩)をしたら堅気の人たちに迷惑がかかる。
お前は足が速いから使いはお前に頼もうと思っていたが、そんな了見ではお前をやるわけにいかねえ。
誰かいないかと声をかけると、鬼と相撲取りそうな奴ばっかり。

人に殴られてもニコニコ笑ってるような奴がいいんだが、一番弱いのは誰かと聞くと、お化けの金太とヒョットコの弥太だという。
呼んできて使いを頼む。
他の人は強くて、善助の首を取ったら大変だ。
お前たちは弱いから安心だ。
さっさと行ってこい。

弥太郎という人はおとなしいが、金太朗が乱暴者。
弱いと言われて怒っている。
ここは二人で計略で、善助の首を取ってしまおう。

一方の善助、子分が若勇を殴ってまわしを持ってきたことを怒っている。
患っているなら、なんで見舞金でも置いてこなかったんだ。
商売道具なんか持ってきたら俺が悪く言われるじゃねえか。

びっくりして逃げ出す子分たち。
後に残った善助がまわしを広げてみてびっくり。
次朗長が贈ったまわしじゃないか
次朗長に知れたら、子分が五、六人で俺を殺しにくるに違いない。
明日の朝早く、俺が清水へ謝りに行こう

善助はいい人だったが運のつきは仕様が無い。
馬鹿野郎二人がやって来た。

善助の首取り

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