名古屋の御難
秋葉山を荒血で汚した罪で清水にいられなくなった次朗長は、病気がちの女房のお蝶と、子分の森の石松を連れて旅に出る。
名古屋まで来たところで、腹が減ったと駄々をこねる石松を宥める次朗長。
実は宿で金を盗まれたのだが、騒いでは宿に迷惑がかかると黙っていた。
ここにきて一文無し。
そこへ身なりの汚い男が現れた。
六年前、清水で次朗長に世話になった勝五郎。
あの時のご恩返しに自分の家に呼びたいが、貧乏暮らしでそれが出来ないという。
その心だけで嬉しいと、次朗長一行が歩き出した。