追分三五郎
次朗長一家が集まっての宴席で河豚が出る。
素人料理の河豚は危ねえと、次朗長が止めるのも構わず食べた人が二十七人。
そのうち苦しがったが助かったのが十六人で、あとの十一人が死んでしまった。
いっぺんに十一の弔いが出たものだから、評判になる。
評判とか人の噂は当てにならないもので、いつの間にか次朗長が河豚を食べて虫の息だという評判が広がった。
この評判を聞いた都鳥一家、本座村為五郎など十一人の悪党。
今のうちに次朗長の寝首をかこうと追分宿までやってきた。
人殺しは夜中に限るってんで、それまで一杯呑んで腹ごしらえをしようと、青木屋という茶屋旅籠に入る。
ここの女中のおしろといい仲の、次朗長一家の追分三五郎。
おしろの酌で呑んでいたが、ぞろぞろ入ってきて離れへ行った十一人の客が気になる。
おしろに聞くと、やくざ者だが馴染みの清水一家でも和田島一家でもないと言う。
鳥を売りにきたそうだが、どんな鳥かと尋ねたら都鳥だって。
三五郎の顔色が変わる。
離れへ偵察に行くと間違いなく都鳥。
次朗長の寝首をかく話をしている。
急いで清水へ走る三五郎。