石松と勝五郎(清水次朗長伝)

石松と勝五郎

姐御がなんとか治らないかと勝五郎が医者に問うと、立派な医者があるから、そこで高い薬を飲めば治るのではないか。ただ、最低でも二十両はかかる。

金策のあてを思いついた勝五郎。
石松を連れて出かける。
うまくいけば三百両になると話すと、泥棒するんじゃねえと怒る石松に、勝五郎が話すには。

勝五郎が清水に行くちょっと前、清水港で相撲の興行があった。
雨に降られて日延べが重なり、大関の八尾ヶ岳惣七は宿でいたずら(博奕)が過ぎて借金ができ、清水を発てなくなった。
で、次朗長親分のところへ来て、助けると思って二十両恵んでください。

親分が留守で姐さんが一人家に居た。
その頃親分は売って売って売ってる盛り、売ってる盛りは家に金が無い。
金が無いと言えば親分の名前に関わるから、自分の大事な物を質へ入れて二十両を関取にやった。
関取はその金で借金を返して清水を発った。
礼状が来ないってんで、お前さん(石松)怒ったろう?

あれから一年たって、今度は友達の金二百両を博打ですった。
困っていると次朗長親分が三百両くれて助けてくれた。
その八尾ヶ岳惣七が相撲を辞めて博奕打ちになり、尾張の知多郡保下田村(ちたごおりほげたむら)に住んで保下田の久六となった。

妹のおとせが、亀崎の代官竹垣三郎兵衛様の妾になり、本妻が亡くなって妾が本妻となった。
となると、代官と久六は義理の兄弟、久六は、右に博奕打ち、左に天下のご用聞き、二足の草鞋を履いた岡引(おかっぴき)と大変な出世。
そこへ行って話せば恩返しで金をくれる。
聞いて石松、胸を躍らせて勝五郎についていく。

ところが、勝五郎が久六にしだいを話すと、久六は怒り出した。
次朗長の野郎は恩知らず、人の皮を着た畜生、あの野郎、牢内につないで苦しめてやる。

外で待っていた石松。
この話を聞いて真っ赤になって怒り、殴りこもうとするが、勝五郎に止められる。

尾張という国は薄情な野郎ばっかりだ。
石松が大声を出すと、通りかかったのが深見村の貸元で、仇名が鯱鉾(しゃちほこ)長兵ヱ。
勝五郎にわけを聞くと、
久六なんかのところへ行ったお前が悪い。次朗長親分一行はうちへお呼びしろ。お前も一緒に来て世話をしろ。

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