悩みについての話 Part 4
阿川: うちの、私、自分の経験は言えないんですけど、夫婦になったことないから。父は、年がら年中怒鳴ってて、お膳はひっくり返すわ、母親蹴飛ばすわ、はたくわ、もう子供はご飯の時が恐怖で、恐怖政治のように思ったのに、なんか、ああはなるまいという反面教師の中で、なんとなく育ったから、よくあんなとこでまともに育ったねって、割にまぁ、まともに育ったような気はするんですけど加藤: あの〜、やっぱりね、女性のほうが強いですよね
阿川: え?そうですか?あははは、そういう結論になるかなぁ?
加藤: あの、家庭が上手くいかない時に、やっぱりどっちが傷つくかっていうと
阿川: でも子供の頃は
大竹: 黙りなさい!ここ大事なところなんだ。
阿川: だって、先生!
大竹: 家庭が上手くいかない時に、どっちが傷つくかというと
加藤: 一般的な話ですよ。女性で傷つく人もいっぱいいるけれども
阿川: 傷ついてるわ!
加藤: 数としていうと、男性のほうが傷ついてますね
大竹: ああ、そうですか
阿川: またそうやって自分を慰めてるんでしょう!なんか、「ああ、やっぱり僕は傷ついてるんだぁ」とか、言いたいんでしょう、大竹さん!
大竹: いや、違う違う、女の人はね、基本的にやっぱしね、ホントにあのね
阿川: ほら全部そういう風に総称しないでくださいよ
大竹: いや、総称はしないけど、ナイーブな女はいないよ(笑)
阿川: ひどい!ちょっと
加藤: それは知らないけど(笑)
阿川: 先生〜、そういうことでいいんですかぁ?
大竹: 基本的にね、ナイーブなのは男だよね
阿川: そんなことないですよ、脆弱なんですよ、男は
加藤: 脆弱。そうかもしれない
大竹: 脆弱だよ。脆弱は認めるよ
阿川: 「僕ダメだから慰めて〜」っていう男ばっかりで、「自分で立ち上がりなさい」って言うと急になんか小さくなっちゃうんだよね
加藤: そうそうそう
大竹: そりゃそうだ
阿川: 「目の前の危機があるんだから、とにかくここを乗り越えるしかしょうがないでしょ、明日食べる物無いんだから」みたいなことに弱いですよね
大竹: 目の前の危機を、できるだけ先送り先送りするんだよ男は(笑)
阿川: で、威張ってたいのね
加藤: そうそうそう。だから子供なんです
阿川: まぁそうですね
大竹: まぁね
阿川: だから、「僕ちゃん弱いの」っていう人を、上手く、あしらっているのが女の役割
加藤: それでね、やっぱりね、「代理母」っていう言葉があるんですけどね、夫婦なんだけれど、夫が妻をお母さんにしちゃうんです
大竹: 大体ね、日本の男の人はね
加藤: そうするとね、それもね、やっぱり、男と女の関係じゃないと上手くいかないみたいね。子供から見ると。要するに、お父さんがお父さんじゃなくなっちゃうんですよね
阿川: あ、はい
大竹: お父さんも子供になっちゃう
加藤: お父さんとお母さんがいて子供がいるんだけど
大竹: なるほど。日本の男の人は、お母さんを、自分のお母さんのように思って、結婚というものを捉えちゃう人が多い。男と女が対等な関係で夫婦をやっていれば、その子供との関係で、そんなにまずくなることはない。
阿川: 私、それは正しいと思いませんけれど、昔は、少なくとも対面上は、お父さんが大黒柱で、お母さんに対して威張っているという姿を子供の前に見せてて、「稼いでくるのはお父さんだ、このうちで一番偉いのはお父さんだ」って、二人になった時は別として、だから、それが、すごく、お父さんはお母さんの子供のようだっていうのを、あんまり表面化させすぎて、子供がお父さんに対する畏敬の念が無くなったんじゃないかと思うんですけど
大竹: それだけじゃない。だから、あれだよ、給料明細書が紙切れになって、で、お父さんが一生懸命外で働いているんだろうって今までは想像してたんだけど、実はそうじゃなかった。焼き鳥屋でクダまいて、経費使って、上手くいかないこともあったのが、全部うちに解っちゃった。バレちゃった。
加藤: 要するに男の子にとって、モデルが無いですね、父親がいないから。父親がお母さんの息子になっちゃう
大竹: なるほど、なるほど。
阿川: 仲間になっちゃう。兄弟みたいに
大竹: ちがう、ちがう。自分の尊厳を与えてもらう父親像が無い
加藤: だから男の子にとっては辛いんですよね。生きるべき、こうやって生きるんだ
阿川: どこ向かえばいいのか解らない
加藤: 社会に対してこうやって振舞えばいいんだっていう、生きていくモデルが無くなっちゃう
阿川: 大竹お父さん、大丈夫ですか?
大竹: ……ギリギリ
阿川: ふふふふふふふふふ
大竹: ギリギリ
加藤: いや、僕自身もそうだったんです。お母さん二人いたってさっき言いましたね。過干渉のお母さんと無関心のお母さん。するとやっぱりね、男っていうのはこうやって生きるもんだっていうのを
大竹: その、自分の父親像を捜し求めて
加藤: 捜し求めて
阿川: 三千里
加藤: 三千里。
阿川: お話の続きはコマーシャルの後に伺います