悩みについての話 Part 3
大竹: そのように偏った方がなぜ人生相談で名回答を阿川: (笑)だからでしょう、
大竹: あっ、だから、そうか
阿川: 自分が苦しみを知ってるからこそ、人の苦しみがしみじみと解るんですよ。それで、どういう言葉が沁みるかが解るんですよね。そういうことじゃないかな
加藤: それは割と解りますね。ある片方の分野の悩みは。あ、これは自分も経験したなぁっていうのは解ります。
阿川: ニコニコ笑ってるけど、この人絶対辛いんだな、とか
加藤: ということです。だから、言ってることと感じてることって違うんですよ。人生相談のポイントって何かっていうと、なんでこんなに30年近くも続けさせて戴いてるかというと、相談して来た方の無意識を意識化できるんです。「あなた本当はお父さん嫌いでしょ」って言うと、そこで黙るわけですよね。或いは夫婦関係で言ったら「あなた、本当に嫌いなのはご主人だよね」って言うと、ホントに嫌いなのはご主人なんですよ。だけど、ご主人が嫌いだってことが意識できない。
阿川: そんなこと思っちゃいけないと思うし
大竹: 好きで結婚したんだし
阿川: 周りの対面もあるし
加藤: そして、これを意識しちゃってですね、離婚なんてなったら自分の社会的立場が、というのがあると。だから意識できないことっていっぱいあるんですよ
阿川: つまり表面に出すことができない、自分に内在している感情
大竹: それは、例えば悩みの相談していらっしゃる方がベラベラ喋る言葉と、大体反対側にあるものですか?
加藤: 反対側にあります
大竹: 反対ですか
加藤: はい
阿川: 言葉と
加藤: はい
大竹: いや、だから、お父さんが大好きで、とかって言うのと、それから、主人のことが大好きですけどって言う、その真裏が
加藤: そういうことです。ていうのはね、明かに解るのは、子供が例えば不登校になったとか、非行に走ったとか、子育ての相談って最近すっごく多いわけです。と、先ずその、ご主人からでも奥さんからでもどっちでもいいんですが、例えば奥さんから電話が来て、「ご主人との関係は?」と訊くと「上手くいってます」って言うんです。つまり、父親と母親が上手くいっててですね、そして子供がおかしくなるってことは、まぁ考えられないですね。やっぱりお父さんとお母さんが仲が良くて、ホントの意味で仲が良くて、言葉の表面じゃなくホントに仲が良くて、愛情豊かだったら、子育ての技術なんていろんなことやらなくたって、まぁ健全に育つわけですよ。
阿川: ほっといても
加藤: ほっといても。先ずとにかく仲が良ければいい。ところが、「上手くいってます」と。「だけど子供がこうでああで」ってやりだすわけです。
大竹: じゃ、もう一回突っ込んで伺いますけど、ご両親がホントに上手くいってる間の仲で、不登校とか、それから・・・
加藤: ありません
大竹: ノイローゼになったりする子供とかいない
加藤: いない
大竹: いないですね
加藤: いないです
阿川: 引き篭もりなんていうのは
加藤: ありません
大竹: 無いですか
加藤: 無いです
阿川: そこまで断言なさるほど
加藤: これはもう断言します
大竹: 素晴らしい
阿川: それは、でも、一時的なものが、例えば夫婦関係がなんかかんかで
加藤: あ、一時的なのは別です。それは一時的なものです。それから表面喧嘩するってのは別です。ホントに気持ちが触れ合ってれば、逆に喧嘩ってなるんですよ。「一日一回夫婦喧嘩で医者知らず」っていう言葉があるんですけども、一日一回、夫婦で喧嘩すると、ストレスが発散されているから、ストレスが無いから、お医者さん行かなくていいよという。だから、喧嘩するとか喧嘩しないとか、表面的なことじゃなくて
大竹: 私、何十年も喧嘩してません、妻と。
阿川: ええ〜〜〜?それは何?上手くいってるってことですよね?
大竹: マズイんじゃないかな。上手くいってないってこと
阿川: なんだかわかんない
加藤: いやいや、だから、心が触れ合ってるっていうこと